梅の種にご用心

前の日の晩に梅酒の梅の種を食べてしまった若いシーズーの女の子が来院しました。若い犬は好奇心が強いので何でもかじりたがるし、食べてみようとするものです。ましてや飼い主さんが美味しそうに食べているものは犬にとっても魅力的です。
 梅の種や桃の種、トウモロコシの芯などは犬の胃腸の中でほとんど消化されず、胃の中にある内はあまり悪さをしませんが、腸の中に進んでしまうと高い確率で腸閉塞を起こし命の危険を伴う状況となります。また、こういった植物性の異物はレントゲンに写りにくいので、飼い主さんが異物を飲んでしまったのを把握していない場合、発見も遅れがちになってしまいます。
犬が異物を誤って飲んでしまった場合、大きく分けると①様子を見守る②吐かせる処置をする③開腹手術をして摘出する④内視鏡で摘出するといった選択肢があります。明らかに危険な異物は様子を見る訳にはいきません。また、大きな異物や尖ったものなどは吐かせると食道に詰まったり傷をつけたりして大変な事になる場合があります。開腹手術はやはり大掛かりですし数日の入院も必要になります。そこで今回は内視鏡での摘出となりました。動物の内視鏡は全身麻酔が必要になりますが、限られた条件の中では切らずに安全に治療できます。
 
今回の犬では幸いなことに梅の種は胃内に留まっていましたので内視鏡と特殊な鉗子を使って無事に摘出できました。針金のような異物もみられたので一緒に摘出しています。内視鏡で摘出できるのは食道や胃の中の異物だけで、腸に進んでしまったものは開腹手術に頼らざるを得ません。この犬は麻酔から無事に覚めて夕方には飼い主さんの元に元気に帰って行きました。この回復の早さが内視鏡治療の魅力です。