治らない外耳炎の治療

犬の外耳炎がなかなか治らなくて悩んでいる飼い主さんは多いと思います。治療する獣医にとっても悩ましい問題です。犬の耳はヒトの耳と違って途中で折れ曲がり、上に向かって開いています。耳の穴は皮膚の延長ですが常に高温多湿の状態で菌の増殖に適しており、肉球の間などと同様にアトピーやアレルギーの影響を受けて炎症が起きやすい敏感な部位です。本来は外耳炎が起きて耳垢が出ても外に排出する生理的な機能を持っていますが、慢性的に炎症があると皮膚の構造が壊れてしまい耳垢を外に排出する機能も働かなくなってきます。その結果、溜まりぱなしの耳垢が菌の温床になっていきます。また、外耳炎が重症になると耳の穴が腫れて狭くなりさらに耳垢が出て行かなくなるという負のジレンマが生じます。
 外耳炎を繰り返している犬は、最初は薬が効くのですが段々と抗生物質や効きにくい菌が住み着くようになってきます。犬も痛みで耳を触られるのを嫌がるようになり、中々薬を入れる事も難しいということが多々あります。
 
アレルギーを抑える薬や専用の食餌も効果がある場合がありますが、手術でコントロールするという方法もあります。写真は外耳炎がなかなか治らないために外側耳道切除という手術を受けた犬の耳ですが、耳の穴は短くなり横を向いた部分だけが残っています。この手術によって通気が良くなり耳の中の環境は劇的に変化します。以前は耳を振っても耳垢が出て行かなかったのですが、今では耳の中も乾燥してきて自然にゆっくり治って来ています。実は抗生物質が効きにくい菌は生命力そのものは弱いことが多く、環境を整えてあげると自然といなくなっていくのです。飼い主さんも犬が前より甘えん坊になったと言っています。以前は耳掃除をしても取りきれない膿が溜まっていましたが、きっと常に不愉快だったんでしょうね。
 この手術を受けても見た目は下の写真のようにあまり変わりません。また、比較的合併症も少ないと言われています。ただし、あまり外耳炎を放置して奥の方の耳道まで悪くなるとこの手術の適応にはなりません。詳しくはご相談下さい。