免疫抑制剤あれこれ

 院内で使っている免疫抑制剤を集めてみました。短期間の間にも種類が増えてしまいました。免疫抑制剤というと皆さんは何を連想されるでしょうか?そもそも免疫って何でしょうか?
風邪をひいた時にお医者さんに診てもらうと「疲労で免疫力が落ちたんじゃないか」とか言われますね。私達は無数の微生物の中で生活しています。皮膚の表面にもたくさんの微生物がいますし、腸内容に至っては重量の半分くらいは微生物だらけで、つまり私達は微生物と共存しています。けれども、本当の体の内側へは様々な免疫機能が働き病原微生物が侵入しないようになっているのです。
 免疫は私達や動物達にとってなくてはならないものですが、自己と非自己を区別するこの複雑な仕組みは、まれに間違いを起こします。自分の細胞を自分の免疫が攻撃し始める事があるのです。これを自己免疫疾患と言いますが、発熱、貧血、腸炎、皮膚炎、腎疾患、関節炎など様々な症状を起こします。
 これらの病気が生じた時には免疫機能を弱める治療が必要です。副腎皮質ホルモン(ステロイド)は真っ先に使用される薬です。副腎皮質ホルモンは副作用が有名になっていますが、即効性があり、必要な状況では命を助ける貴重な薬です。ただ、副腎皮質ホルモンだけでは治療効果が不十分であったり、長期的な治療が必要となる場合に写真のような免疫抑制剤が登場します。ステロイドが免疫機能の様々な部分に作用してすべて抑制するのに比較して、これらの薬は複雑な免疫機能の一部をピンポイントで止める薬であることが多く、上手く行けば悪さをしている部分だけを改善します。免疫抑制薬を使うと肺炎などの感染症にかかりそうなものですが、長期的に使っても大きな副作用を経験することはほとんどありません。動物の衛生環境や栄養環境が昔よりよくなっており、免疫がフル稼働する必要がないのではないでしょうか。
 これらの薬はとてもいい薬ですが、人で言えば特定疾患や難病指定された病気や臓器移植などに使用する薬ですので薬価が非常に高い薬です。高い薬を処方したからには効いて欲しいものですが、素直に効かない難病も時折あり、胃が痛くなる瞬間です。