麻酔の安全性を高めるために①
当院は決して外科手術に特化した動物病院ではありませんが、地方の都市では各動物病院がそれ相応の手術に対応する必要に迫られます。当院では開業当初から高性能麻酔器の導入や医療麻薬の積極的な使用を行い、安全な全身麻酔の提供を理念の一つとしてきました。そんな中でも最近は3時間以上の麻酔を強いられるような手術もしばしばあり、様々な問題を体感するようになりました。そこで麻酔の安全性をさらに高める取り組みとして3つの事を導入する事にしました。
①温風式保温装置「ベアーハガー」導入
手術中や手術後に体温を下げない事は安全な全身麻酔の基本です。麻酔をかけると血管の拡張や筋肉の緊張もゆるみ体温は必ず下がって行きますので、積極的に保温を行う事が必要です。低体温は麻酔覚醒不良や術後の感染症の可能性を招きます。
意識のない動物を熱傷の危険性なく保温するというのは、実はかなり難しい事で、当院では動物病院で一般的に使用される温水循環式の保温マットを使用してきました。これは安全性の高いものなのですが、特に冬期に長時間の麻酔をかける際には性能が不十分で体温が下がる事を防ぐ事は困難でした。そこで、10数年にわたってご指導頂いている先生の勧めもあって温風式保温装置「ベアーハガー」を導入する事にしました。これは厳密に温度コントロールされた温風を送り込んで麻酔中の動物を暖める装置です。布団乾燥機みたいなものですが、値段は布団乾燥機が数十台分はします・・・。従来は一度体温が低下すると、体温を上げるという事は現実的には不可能だったのですが、この装置では体温が低下してからでも再度安全に上昇させる事が出来るという評判です。残りの2つの取り組みについてはまたいずれ紹介します。