猫の予防について
外出するネコちゃんもお家から出ないネコちゃんも同じように定期的な病気の予防をしてあげましょう。
①混合ワクチン接種
仔猫は生後2カ月から1カ月毎に2回接種をお勧めしています。
成猫になって初めて接種する場合も2回接種が必要で、その後1年に1回の追加接種が必要です。
ワクチンは生後2カ月から
当院では仔猫には生後8週齢から4週間毎に合計2回の接種、それ以降は年に1回の接種をお勧めしています。
混合ワクチンは3種ワクチンと5種ワクチンを用意しています。特に外に行く可能性がある猫は5種ワクチンをお勧めしています。5種ワクチンには猫伝染性鼻気管炎、猫カリシウィルス感染症、猫パルボウィルス感染症に加えて猫白血病ウィルス、猫クラミジアのワクチンが追加されています。以前の5種ワクチン製剤は接種後に発熱を起こしたり注射部位の痛みを生じたりする確率が高く、積極的にお勧めしにくい状況でしたが、2013年の夏より副作用の生じにくい製剤が発売され、当院でも採用しています。現状では費用の問題以外では5種ワクチンが最良と考えています。
ワクチンの副作用について
ワクチン接種には人のインフルエンザワクチンと同様に副反応の危険性があります。蜂に刺された時のようにアナフィラキシーショックという血圧低下が起きたり、時間がたってから顔が腫れたりすることもあります。以前にワクチンをうって調子を崩したことがある場合は必ず申告して下さい。また、ワクチン接種後に問題が生じた際に病院で充分な対処がとれるように、子猫のワクチンは午前中の接種をお勧めします。
このページのTOPへ
混合ワクチンの接種は任意ですが、毎年の接種がないと公共の場所への出入りやペットホテルの受け入れ、二次診療施設への受け入れに問題が生じることがあります。
②ノミ・ダニ予防
暖かい時期の方が危険性は高いですが、出来れば通年で予防してあげましょう。最近ではマダニがSFTSウイルスという人の致死性の病気を媒介することが話題になっています。
血を吸ったマダニ
雌のノミは猫に寄生して吸血を開始すると24〜48時間以内に産卵を開始し一日平均30個の卵を産むと言われており、家にノミの卵・幼虫が蔓延する結果となります。ネコノミは人も吸血します。また、ノミは瓜実条虫というサナダムシを媒介します。猫のお尻をよく観察すると米粒のような虫がついてうごめいているの事があります。
マダニが猫に寄生することもあります。マダニは動物に乗り移ると顎の口下片と呼ばれるノコギリ状の突起を皮膚に埋め込み、セメント状物質でその周囲を固めて強固に宿主と自分を固定して数日かけて吸血します。その間、血液を吸っては不必要なものを戻すということをするため、ダニが保有する様々な病原体が動物に注入される事になります。飼い主さんが発見して慌てて引っ張ると頭だけが皮膚に残ってしまい、その後化膿することがあります。ヒトに対してもライム病などの伝染病を媒介することが知られていましたが、最近ではSFTSウイルス(重症熱性血小板減少症候群ウイルス)を媒介することが話題になっています。人が発症した場合、致死率が10%を超えるウイルスと言われていますので猫が家にマダニを拾ってくるというのは避けたいところです。
ミミヒゼンダニと呼ばれる耳の中に寄生する小さなダニも猫でよくみられます。ミミヒゼンダニは激しい痒みを起こします。ミミヒゼンダニが寄生すると特徴的な乾燥したような耳垢がみられます。
その他、カイセンと呼ばれる小さなダニが頭部を中心に寄生して激しい痒みを起こす事や、シラミの寄生がみられる事があります。
当院では猫の寄生虫駆除薬として現在は3種類の薬剤を用意しています。いずれもスポットオン製剤(背中に垂らして吸収させる製剤)で1カ月に1回使用するものです。それぞれ若干の特徴があります。
①ノミ(成虫・卵・幼虫)、マダニ、回虫、鉤虫、瓜実条虫、猫条虫、フィラリアに効くタイプ | 効能外でミミダニやシラミ、カイセンなど様々な虫に幅広く効きます。ノミが媒介する瓜実条虫が認められた際にこの薬だけで条虫とノミを駆除できます。2015年8月に発売され当院では第一選択としてお勧めしています。 |
---|---|
②ノミ(成虫・卵・幼虫)、ミミヒゼンダニ、回虫、フィラリアに効くタイプ | 猫に寄生する外部寄生虫などを幅広くカバーしており妊娠中や授乳中でも安全とされているなど様々な利点があります。 |
③ノミ成虫、マダニのみに効くタイプ | マダニが気になる方にお勧めしています。比較的安価です。 |
ホームセンター等でノミダニ駆虫剤が似たような外見で販売されていますが、効果も安全性も低いものが大半ですのでご注意下さい。
③フィラリア予防
ノミ予防と兼ねる方法がお勧めです。
このページのTOPへ
犬のフィラリア予防薬はすでに成虫が感染している犬に投与した場合に副作用が生じることから、投与前の血液検査が必須ですが、猫は必要ありません。ただし、今感染していない事を確かめたい、あるいは何らかの症状があるなどの場合は検査を行います。